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医者語録

・N先生語録

「終末期在宅は儲かる。今一番儲かっているのは、終末期医療を見る在宅診療医だ。ウチはなんでも診るのが成功した秘訣だな。消化器だけとか、心臓だけとか、限定しないで請け負った。そういうところは他にない。じゃんじゃん患者が来た。」

「国は病院で終末期をやってほしくないんだよ。お金がかかる。在宅でやってほしい。だから在宅医療の診療報酬をものすごく上げている。だから、今、医者が在宅医療に集まっている。」

N先生は僻地の診療所で長年働き続けてきた。科にとらわれず、様々な疾患を診ざるを得ない状況でやってきたのだった。今の時代は、医療に限らないが専門性を強めてゆく傾向がある。幅広く診ることのできる人が希少になっている。

「その代わり、在宅医療は大変だよ。24時間いつでも電話かかってくるよ。」

大変そうである。

「やる気を出したらダメだね。俺は開業にやる気なかった。だから成功した。やる気あると譲れないからね。地域医療も、総合診療医育成も、やる気があった。だから人とぶつかって終わってしまった。能動態でもなく受動態でもなく中動態だよ。わかる?中動態。」

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こんなものらしい。

「初期研修が終わったら、いきなり僻地で一人でやってゆくことになった。でも、自分にはそれが良かった。自分一人で進みたいんだよ。誰かにあれこれ言われるのは苦手。」

防衛医大も、産業医大も失敗してる。自治医大だけだよ、成功してるのは。成功の秘訣は、自治医大は官僚がコントロールしてることだな。地方自治体の役人は言われたことだけをやる。他は大学教授がコントロールしてるから、情だの、欲だのでちゃんと約束を守らせられない。防衛大や産業医大は医者がすぐ逃げちゃう。」

産業医大は産業医学、防衛大は自衛隊で働くことを条件に入学できる。しかし、逃げてしまうことが多いらしい。自治医大はへき地医療、ちゃんと働かせることができてるらしい。シビリアンコントロール強し。

「UP TO DATEなしでは仕事にならないね。」

幅広く診る、それはすべてを暗記するというものではないのだろう。必要な時に必要な情報にアクセスすることができるか、なのだろう。

・N先生語録

うつ病だから抗うつ薬をつかうんじゃあないよ。それは素人の考えだ。医者の判断は目的が無ければならない。うつ状態で、リハビリが進まない。リハビリを進めるために抗うつ薬を投与するんだ。リハビリは時期がある。この時期を逃したら回復しないというものがある。リハビリと言う目的のために使うんだ。」

N先生は脳神経外科医だ。このような視点、精神科にはあるだろうか。

「サイラス先生、医者はね、人の苦しみを背負わなければならないんだよ。苦しみを、患者や患者の家族に投げ出して終わりじゃあいけない。この治療をやったら寝たきりで目は覚まさないけど、患者は生きます。そう伝えられたら、患者の家族はどう思う?家族は患者の死を選択しなくてはならない。そんなつらいことはない。そんなことをさせちゃあいけない。医者は痛みを感じなくなる訓練を受けている。医者が苦しみを背負ってあげなければいけないよ。だまってやってあげるんだよ。」

(N先生のこの考えは、「インフォームドコンセント」というものに反している。また、現代医療で否定的にとらえられている「パターナリズム」を発揮していると言える。しかし、N先生は30年以上医者をやって、「痛みを感じなくなる訓練」と自ら述べる仕事をこなし、もちろんパターナリズムインフォームドコンセントの意味を知り、自身の考えが世の中の流れに反していることを十分に理解したうえでの発言であり、その内容の賛否は別にして、真摯に受け止める必要があると感ずる。こんなことを言って非難されることはあっても、得をすることはN先生にはないのだ。)