「看病」江戸小話

ある時、ひとり暮しの八五郎が、病気になりました。

「おいおい、八こうの奴が病気だってさ。みんなでお見舞い行ってやろうじゃないか」

こうして八五郎の友だちが二、三人集まって、お見舞いに行く事になりました。

「よう、具合はどうだ?安心しなよ、おれたちが看病してやるからな」友だちが言うと、八五郎は嬉し涙を流しました。

「ありがたい。持つべき物は友だな。まあ何もないが、賑やかに話でもしていってくれ」

「そうかい、それじゃあ何か用があったら声をかけろよ。遠慮なんかする事はないぞ」

そう言って友だちは賑やかに話などをしていましたが、そのうちに花札が始まりました。

勝ったの負けたのとやっているところへ、八五郎が声をかけました。

「もしもし、水を一杯くだされ」

「・・・・・」

「もしもし、すみませんが、お水を・・・・・」

「ああ、今やるぞ」

友だちは声ばかりで、いつまでたっても来てくれません。

たまりかねた八五郎が、ふらふらと起きて来たのを友だちが見つけて言いました。

「これ、どこへ行くのだ。寝ていないと危ないぞ」

「ちょっと、水を飲みに」

すると友だちが次々と言いました。

「おお、それならついでに、おれにも水を持ってきてくれ」

「おお、おれは酒だ。酒を持ってきてくれ」

「おれにはまんじゅうだ。なければ買ってきてくれ」

「・・・・・」

この様な友だちを、悪友と言います。

ちゃんちゃん

(15.1.7)

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