映画「告白」

2010年の話題作。語り手が次々と交代する構造は、芥川龍之介の「藪の中」でも

取られた手法。主観の変化を眺めながら私は、誰が一番のクズなのだろうと

考えていた。衝撃のラストまで観て、矢張り少年Aが妥当だなと結論づける。

クズなので彼を襲った悲劇にも同情しない。

現実の少年犯罪を連想させる事件は、哲学的な題材でもある。何故人を殺しては

いけないのか、犯罪者は更生するのか。酒鬼薔薇や光市母子殺人事件の犯人、

女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人グループにまで妄想は及ぶ。

原作や制作者の意図がどの辺りにあったかは分からないが、個人的には壊れた

人格が正常に作動することはないと思っている。なので森口教諭の復讐が

果たされた瞬間には、痛快な思いを抱いた。司直の手に委ねずリンチに走った

行動は、光市で無念をアピールしながらも最後は理性的に振舞った遺族男性の

対称にある。私のこの思いはモラルの点では褒められたものではないが、

最大のカタルシスを得る方法としては間違っていない、と第六感が教えている。

夫々の事件に対して私は傍観者だが、若しも当事者になった場合は更生などに

目もくれず、相応の罰を要求するだろう。失われた命が還ってこないと分かってはいるが。

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